薬局の求人を見ていると、「調剤助手」「調剤補助スタッフ」という言葉を見かけることがあります。「薬局で働くのは資格がある人だけでは?」と思って、気になりつつスルーしてきた人も多いのではないでしょうか。
実は調剤助手は、資格がなくても始められる仕事です。ただ、介護やレジ打ちなどに比べると、実際に働くイメージが湧く情報が少ない職種でもあります。そこでこのブログでは、3回に分けて調剤助手のパートを取り上げます。第1回は「そもそもどんな仕事なのか」です。
調剤助手はどんな仕事?
調剤助手は、調剤室の中で薬剤師の作業を支える「裏方」の仕事です。職場によって幅はありますが、よくあるのはこんな内容です。
- 薬剤師の指示のもと、処方箋にもとづいてシート包装のままの薬を棚から取りそろえる作業(ピッキング)の補助
- 一包化された薬の数の確認の手伝い
- 医薬品の納品受け取り・検品・棚への補充
- 在庫の整理、使用期限のチェック
- 調剤室や薬局内の清掃・片付け
ひとことで言うと、「薬剤師が薬のチェックや患者さんへの説明に集中できるように、調剤室のまわりの作業を整える」のが調剤助手の役割です。
注意: 受付まわりの対応、処方箋の受け取り、処方内容のパソコン(レセコン)入力は、調剤助手ではなく「調剤事務」の仕事です。ネット上にはここを混同した情報が多いので、気をつけてください。
「調剤事務」との違いは?
似た言葉に「調剤事務(調剤薬局事務)」があります。この2つは、現場では別の仕事です。
- 調剤事務: 受付、処方箋の受け取り、レセコン入力、会計、保険請求(レセプト)など。保険や薬の知識が必要な、専門性の高い仕事です。とてもレベルの高い内容が求められるので、未経験の人が気軽にできるものではありません
- 調剤助手: 調剤室の中での補助。薬の取りそろえの補助や検品・補充など、手を動かす裏方の仕事が中心です
求人票では呼び方が混ざっていることもあるので、職種名だけで決めず、仕事内容欄に書かれているのがどちらの仕事なのかを必ず確認しましょう。「レセコン入力」「レセプト」と書いてあれば、それは事務の仕事です。
資格は必要?
調剤助手に、国家資格は必要ありません。「無資格OK」「未経験OK」の募集が中心で、未経験から始めやすいのはこちらです。
一方、調剤事務のほうは、資格の有無にかかわらず保険の仕組みやレセコン操作など覚えることが多く、経験者が優遇されやすい仕事です。「調剤事務=未経験でも簡単」という紹介を見かけたら、少し疑ってかかったほうが安全です。
どこまでやっていいかは、国のルールで決まっている
「資格がないのに薬を扱って大丈夫なの?」という不安は自然なものです。ここは、国がルールを整理しています。
2019年4月に厚生労働省が出した通知(「調剤業務のあり方について」)で、薬剤師の指示と最終確認のもとであれば、薬剤師でないスタッフが行ってよい作業が示されました。
できること(薬剤師の管理・最終確認のもとで)
- 処方箋にもとづいて、シート包装のままの薬を棚から取りそろえる(ピッキング)
- 一包化された薬の数の確認を手伝う
- 医薬品の納品・検品・棚への補充
できないこと(薬剤師だけができること)
- 粉薬・水薬・塗り薬を量ったり混ぜたりする作業
- 調剤した薬の最終チェック(監査)
- 患者さんへの薬の説明(服薬指導)
この通知では、こうした作業を任せる薬局側に、手順書の整備やスタッフへの研修も求めています。つまり、きちんとした薬局ほど「どこまでを助手にお願いするか」が明確で、研修も用意されています。面接で「未経験の場合、最初にどんな研修がありますか」と聞いてみると、職場選びの判断材料になります。
出典: 厚生労働省「調剤業務のあり方について」(薬生総発0402第1号・2019年4月2日)。原文は厚生労働省のサイト(PDF)で読めます。
どんな人に向いている?
- 数や名前を正確に確認する作業が苦にならない人
- 表に立つ接客より、コツコツした裏方の作業が好きな人
- 医療の現場を支える仕事に興味がある人
薬を扱う場所なので、「速さ」より「確認の丁寧さ」が評価される仕事です。家事や育児で毎日こまごまとした確認を積み重ねている人には、なじみやすい環境だと思います。
まとめ
- 調剤助手は、資格がなくても始められる薬局の「調剤室の裏方」の仕事
- 薬の取りそろえの補助・検品・補充・在庫管理などで薬剤師を支える
- 受付やレセコン入力は「調剤事務」の仕事。専門性が高く、調剤助手とは別物
- 調剤助手ができること・できないことは国の通知で整理されていて、できないことを任される心配は基本的にない
- きちんとした薬局には手順書と研修がある。面接で研修について聞くと安心
第2回は、調剤助手の求人の探し方です。実は「調剤助手」という名前のパート求人は、いつでもたくさん出ているわけではありません。だからこそ知っておきたい探し方のコツを整理します。